日米関係筋によると、事前の非公式協議でQIPに反対する米側の意向はたびたび伝えられていた。しかし、国外や県外への移転ではなく、「(シュワブ沿岸部を埋め立てるとした)現行案に近い場所への移設なら、QIPについても米側の理解を得やすい」(日本政府筋)と判断。12日の協議で米側への正式提案に踏み切った。
これに対し米側は、海中からのテロ攻撃だけではなく、QIPだと埋め立てに比べて上空からのミサイル攻撃に弱く、反撃態勢をとるまでの復旧作業が困難であることを主な理由に挙げて反対した。
審議官級協議では「基地防衛と被災後の復旧に関する技術上の問題も徹底的に話し合われた」(日米関係筋)という。米側からは環境問題や海中からのテロの危険だけではなく、基地存立にかかわる根本的な面で問題があるとの認識が示された形。それだけに「米側がQIPを受け入れる可能性はゼロに近い」(日本政府筋)との悲観的な見方が出ている。政府の試算だと、QIPの場合、工期は7年、建設費は現行案の1・5倍かかる。
日本側は12日の審議官級協議で米側に対し、QIPのほか、訓練場所を鹿児島・徳之島など全国に分散して沖縄の負担を減らす案をパッケージで示した。しかし、米側はQIPについては基地としての問題のほか、与党の国民新、社民党も反発しており、訓練場所の分散では徳之島の住民が反対しているとして実現性に強い疑問を表明。シュワブ沿岸部を埋め立て、V字形滑走路2本を建設する現行案が最善との従来の考えを伝えてきたという。
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